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「Oracle Open World 2015」現地レポート

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◇Oracle最大のイヤーイベント「Oracle Open World 2015」

2015年10月25日~29日、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された、Oracle最大のイヤーイベント「Oracle Open World 2015」に参加してきました。

世界中のクラウドを用いたビジネスの動向や成果が語られた今回のイベント内容についてレポートしたいと思います。

 

合計5日間 、「クラウド」「IoT」「ビッグデータ」「EPM」 など、様々なカテゴリのセッションが約2500開催され、141ヶ国 6万人、日本からも 154社 434人のエンドユーザー・パートナーが、会場であるサンフランシスコに集合、「Cloud No.1 Company」のビジョン通り、”Cloud” の一言に象徴されるイベントでした。 

 

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ラリー・エリソン(Oracle会長兼CTO)の基調講演では、2015年を “A Year of Innovation in the cloud” と表し、SaaS (Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS (Infrastructure as a Service)の3層すべてをas a Service(一つのサービスとして)” で提供すると発表されました。

Oracle以外のクラウドサービスで「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3層すべてを提供できる企業は少なく、アプリケーションでは「Salesforce」「WorkDay」、プラットフォームでは「Microsoft」、インフラストラクチャーでは「Amazon」が新しい競合になるであろうと述べられました。

 

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Oracleクラウドの強みは、オンプレミス (自社運用)と同様のアーキテクチャであること、つまりオンプレミスで作成したもののクラウドへの移行のみならず、その反対、クラウドで作成したものをオンプレミスへ戻すような、ハイブリッドなシステムデザインが実現できると説明がありました。

また、設計目標としては「Cost(価格)」「Reliability(信頼性)」「Performance(性能)」「Standards(標準)」「Compatibility(互換性)」「Security(安全)」の6つを掲げており、中でも、セキュリティについては特に重視しているとの説明がなされました。

 

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・クラウドにあげた瞬間暗号化される

・暗号化キーや管理者権限もユーザー側で管理可能(=クラウドベンダーでも閲覧不可にできる)

・セキュリティのアルゴリズムはCPU、チップ上に埋めこまれている

・クラウドでは常に最新のセキュリティパッチが適用される

 

◇新しい製品の情報

新製品も発表されましたが、そのうちのいくつかをピックアップしてご紹介します。

 

 

【新製品1】EssCS(Essbase Cloud Service)

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 Oracle Essbase のクラウド版となる「EssCS(Essbase Cloud Service)」が発表されました。

 

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Oracle EssbaseとはこれまでOracleが「複雑な分析をいかに短期間で実現できるかという課題」を解決するサービスとして提供してきた、Oracleの主力製品であり、今回、サービスをクラウド化するにあたり以下の新機能が追加されると紹介がありました。

 

[新機能]

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●Hybrid BSO/ASO

不安定でありながらも既に機能としては実装されていたハイブリッドBSO/ASOが、EssCSで完全な (full coverage) ものとなりました。

 

 

●New Essbase database web based administration tool

EASに代わるウェブベースのデータベース管理ツールが登場しました。

従来はクライアントにEAS (Essbase administration Services) と呼ばれるツールをインストールし、管理を行っていましたが、EssCSではそれもクラウド上で行うこととなります。

 

 

●Quick database creation by uploading an Excel spreadsheet

ExcelファイルからEssbaseアプリケーション/データベースが作成可能となりました。オンプレミスではExcelファイルからEssbaseアプリケーション/データベースを作成する機能は存在せず、EssCSの新機能となります。

 

 

●Scenario Management

簡易なワークフロー機能です。

 

●Sandbox

ユーザー独自のスライスを作成可能です。

 

●New Java based architecture

SEC fileが廃止されるなど、クラウドに合わせ新しいアーキテクチャとなりました。

 

 

[デモ画面]

 

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↑<アウトラインの画面>

今流行りのフラットデザインを取り入れたことにより、シンプルで分かりやすくなり、インターネット環境に依存するクラウドでも動作が軽く、総じて操作性が高くなっていると感じました。

 

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↑<アプリケーション一覧>

この画面からアプリケーションを Excel へエクスポート、Excel からインポート(アプリケーション作成)が行えるようです。

使い始められるまでの期間がぐっと縮まる予感がする、期待の持てる機能です。

Excelなど普段使い慣れたフォーマットで、日々の運用を大きく変えず使い始められるように設計されています。

 

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↑<エクスポートした Excel>

最新のクラウド技術でありながら、レガシー技術をも取り込む懐の深さを感じさせてくれます。

 

ライセンス体系や使用可能なアプリケーション/データベース数など、詳細な情報は発表されませんでしたが、来年の早い時期に提供開始になるだろうと紹介されていました。

 

 

【新製品2】Enterprise PBCS

Planning and Budgeting Cloud Service (PBCS) のエンタープライズ版である、Enterprise PBCS (EPBCS)も発表となりました。

 

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PBCS はスモールスタートに適したとても小回りの利く製品ですが、加えて、エンタープライズエリアがカバーされることで、お客様の目的、規模への適用範囲より拡がりそうです。

※PBCSについては、弊社でも既に導入実績があり、様々な種類のテンプレートが用意されています。

http://www.oracle.com/jp/applications/performance-management/pbcs/industry/index.html

 

 

【その他の製品】

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↑<Web-based Financial Reporting Studio>

レポーティング作成ツールである「Financial Reporting Studio」も、Web対応でより一層気軽に利用できるようになります。

 

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↑<Data Visualization Cloud Service>

取り込んだデータをドラッグ&ドロップで容易に視覚化、手軽に素早く欲しい分析結果を得ることが可能になります。

 

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↑<Oracle Internet of Things Cloud Service>

 

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↑<Building an IoT application: Key Challenges>

 

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↑<IoT Cloud ServiceのデータはBusiness Intelligence Cloud Service (BICS)へ連携し分析が可能です。

集めたデータを一元管理するだけでなくクラウド上ですぐに活用できる、Oracle クラウドの真骨頂が見てとれます。>

 

◇セッション以外のOracle Open World

セッション以外のOracle Open Worldについていくつか紹介します。

 

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↑<Elton John and Beckのライブ>

サンフランシスコ湾に浮いた「トレジャーアイランド」では、エルトン・ジョン and ベック のライブが開催されました。コンピューティングとロックレジェンドの融合、アメリカ文化を感じる瞬間です。

 

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↑<Hard Rock CAFE>

会場近くのハードロックカフェでは、Oracle Open World 参加者はハッピーアワー価格で15%オフの特典がありました。

セクシーなビヨンセもウェルカム!サンフランシスコの街全体が Oracle カラーに染められていました。

 

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↑<ノベルティ>

Oracle Open World 参加者に対し、Oracle ロゴ入りのノベルティが配られました。

ブラック&レッド基調のモノトーンな配色がかっこいいですね。

 

◇ラリー・エリソンのQ&Aセッション

最終日、ラリー・エリソンのQ&Aセッションが開催されました。

IT 業界全体が注目している氏の発言に、会場にいるひとりひとりが皆熱く聞き入っていました。

 

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さて、2015年のコンピューティングはどう動く?

 

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世界中からの注目を浴びる中、ラリー・エリソンが発言した “We manage technology. You manage information.” という言葉が印象的でした。

「テクノロジーは我々が管理します。あなたは情報を管理してください。」

たしかに、クラウド化が進み従来の SI ビジネスの領域であった「インストール」「アップグレード」など、管理の煩わしさから解放されると、利用者は、システム利用の本来の大きな目的である「情報の効果的な活用」に、よりいっそう専念することができます。

これからの、クラウドを含めたこれからのコンピューティングを占うにおいて、とてもシンプルかつわかりやすいキーワードであると感じました。

 

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◇日本でのイベント(Oracle Cloud Days Tokyo)

 

さて、サンフランシスコから日本に場所を戻し、イベントのお知らせです。

来る、2015年12月8日(火)~9日(水)「Oracle Cloud Days Tokyo」が開催されます。

今回、ご紹介しました「Oracle Open World 2015」のエッセンスとともに、7つのサミットを通じて「クラウドによるあたらしい変革のチカラ」を体験できるイベントです。

是非ともご参加頂き、クラウド時代の幕開けを体感して頂ければと思います。

【開催日時】  2015年12月8日(火)~9日(水)

【主  催】  日本オラクル株式会社

【会  場】  グランドプリンスホテル新高輪 

【住  所】  東京都港区高輪3-13-1

<詳細はこちら> http://www.oracle.co.jp/events/clouddays/2015

 

Business Analyticsと予測分析にご興味がありましたら、弊社へお問い合わせください。

 

20150601問合せ先リンク

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SAPPHIRE NOW 2015

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2015年5月5~7日に米国フロリダ州オーランドで開催されたSAPPHIRE NOWに参加しました。

 

◇SAPPHIRE NOWとは

 

独SAP SEが年に一度開催する当社で最大のカンファレンスです。

業界、業種を超えた参加者が集い、経営陣のKeynoteはもちろん、技術者、ユーザー、著名人による最新の事例やテクノロジーをプレゼンテーション、マイクロフォーラム、ディスカッションなどさまざまな形で体感できるイベントとなっています。

今年の参加者は全体で約19,000人、その中で日本からは約180名が参加したとのことでした。

これは世界でアメリカ、カナダに次いで3番目に多く、日本国内でのSAPへの関心の高さがうかがえます。

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          写真:会場の様子

 

◇ビジネスをシンプルに

 

SAPは昨年度から「Run Simple」をビジョンとして掲げています。

今回のSAPPHIRE NOWでも、そのテーマを前面に押し出しており、一日目のKeynoteでSAPのBill McDermott CEOは、シンプルなビジネスのあり方として「データドリブン」であり、「シームレス」であることを強調していました。

この中で特に、データドリブンというキーワードは、弊社で提供しているサービスで関連が深いものとなります。データドリブンであるビジネスとは、たとえば、結論がデータによって裏付けされる、というかたちよりもさらに進んで、企業が持つあらゆるデータから次の行動計画までが提供されるようなかたちです。

この新しいビジネスを支えているのが、SAPが近年得意としているPA(Prediction Analysis・予測分析)であり、弊社でもデータサイエンティストによって実現しているサービスです。

シームレスなビジネスとは、様々なデータやサービスを、手段(チャネル)を意識することなく利用できる、といったようなものです。前述のKeynoteでは、出張時の飛行機や宿泊先の予約、出張先での移動手段や食事などの経費管理から申請までが簡単に一つのアプリケーションで実現されている、SAPカンパニーのConcur社のサービスが具体例として紹介されていました。

 

今回はSAPPHIREで行われた講演からこれらのキーワードに関連の深い講演を二つご紹介します。

 

◇Chief Data Officer(最高データ責任者)とは

 

まず一つ目はデータドリブンでシームレスなビジネスにとって重要なポイントである、企業内のデータマネジメントについての講演です。

一日目の午後、マサチューセッツ工科大学の最高データ責任者(Chief Data Officer, CDO)のRichard Wang教授が、今後企業内での需要が拡大するChief Data Officer(CDO)というポジションと役割についての講演を行いました。

CDOとはC-Suiteの一つで、企業のデータ戦略や組織を超えた企業全体のデータ管理についての役割を担う経営層のメンバーに当たります。Wang教授の調査によれば2014年時点で約400の企業で採用され、2020年には900以上の企業が採用すると予測されているポジションです。すでに米政府、軍、金融、ヘルスケア、IT、小売業等多くの機関、業界で採用されています。

 

◇CDOの必要性

 

なぜCDOが必要となってくるのでしょうか?

それは多くの企業で効率的・効果的なデータ管理ができていないという問題があるからです。

企業にとってデータは重要な財産であるにもかかわらず、SAPのMcDermott氏によると企業内のデータの約98%がブラックボックスの状態であるといわれていたり、Wang教授によるとデータサイエンティストの仕事の約70%の時間はデータクレンジングに使われていたりする状況であるからです。また従来のデータマネージャー・チームが対面する問題の一つとしてステークホルダーが乱立するケースがあります。例えば他の組織やチームが管理している領域について主導権を握ることができず、最悪のケースではプロジェクトが頓挫することもあります。このような状況において、シンプルで、データドリブンで、シームレスなビジネスが簡単に実現するものでしょうか。

CDOに期待されるのは、そのような状況の中で企業のゴールに向けてリーダーシップをとり、組織間の協調を進めることです。そして、データ戦略やデータ品質を管理し、データの価値を生み出していくことが期待されています。そのためには単なるデータマネージャーではなく、経営層レベルの実行力と責任が必要です。

現状では全ての企業が今すぐCDOを必要としているわけではありませんが、今後企業内のデータが増大していく中で、どこに何のデータがあるか把握し、垣根のないシームレスな分析ができる企業や、データ戦略が立案できる企業に強みがあることは明らかだと思います。

 

◇サプライチェーンマネジメントに予測分析を導入

 

もう一つの講演は、米・ロッキード・マーティン社(Lockheed Martin)のサプライチェーン・マネジメント(SCM)のリードタイム予測システムに関する事例です。

 

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          写真:サプライチェーンマネジメントのリードタイムの種類

 

ロッキード・マーティン社は世界最大の航空宇宙開発製造業の一つです。このシステムは軍事・商用衛星など宇宙開発事業の製造にかかわる調達について、発注計画から受領までのリードタイムを予測しています。

事例によると、ロッキード・マーティン社にとって、調達にかかるコストは完成品の原価の約70%を占めており、またその調達先が5,000社を超える複雑かつ大規模なネットワークになっていることから、SCMがいかに重要な役割を占めているかが想像できます。その中でも、部品の発注計画から実際に使うまでの各ステップのリードタイムを正確に予測し、業務を効率化するということは、企業にとっておおきな業績改善につながります。

しかし、従来のリードタイムの見積というのは、バイヤーの経験則や今までの実績の平均値といったもので、必ずしも正確ではなく、ユーザーはより効率的なSCMの実現を必要としていました。

 

◇発注のリードタイムの予測分析の導入と効果

 

そこでロッキード・マーティン社が導入したのが統計的手法による各発注のリードタイム予測分析のモデルとSAP HANAによる高速データ処理を可能にするシステムでした。ここでいう予測分析のモデルとは、「近い将来、なにが起こるか」をある程度の正確性をもって予測するもので、この事例では、今までのデータをもとに、その時々のマーケットの状況の変化を加味して、自動的に最適なリードタイムを予測するモデルが導入されました。また60,000種類の部品について処理をする必要があったため、高速なデータ処理が可能なインメモリDBのSAP HANAにカスタマイズした予測モデルを実装させています。

 

このシステムにより、

●リードタイムの精度が25%向上

●リードタイムの手動メンテナンスに要する時間が80%削減

●現行・新規部品についての最適リードタイムの提案(計画性の向上)

●ほぼリアルタイムでのリードタイムのレポーティング(現在のリードタイム計画、80%確率のリードタイム、平均、中央値、モード値を提示)

といったことが可能となっています。

 

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◇予測分析への需要の高まり

 

この事例のように、将来を予測する分析は多くの講演で紹介されており、SAPが投げかけている疑問「いつになったら過去をレポートするのをやめ、将来を指し示してくれるのだろうか(When will my data stop reporting the past and start predicting the future?)」にもあるような、予測分析に対するユーザーの需要の高まりを感じました。

SAPPHIRE NOWの3日間で、すでにこのような戦略を実現している企業が、多く紹介されていました。ご紹介した事例はほんの一部ですが、将来のビジネスモデルへのイメージをお伝えできていれば幸いです。

 

イベント詳細 : SAPPHIRE NOW2015

http://events.sap.com/sapphirenow/en/home

 

Business Analyticsと予測分析にご興味がありましたら、弊社へお問い合わせください。

 

20150601問合せ先リンク